あなたや身の回りの人に、こんな傾向はありませんか?
いちいち指示されないと動けない人(具体的にしか考えられない思考という)
ふわっとした指示しかできない人(抽象的にしか考えられない思考という)
スマホやネットが普及した現代人は、「具体」または「抽象」のどちらかに偏りすぎている傾向が強いことにより、一方的なコミュニケーションとなってしまい、コミュニケーションギャップが起きている人が多いです。
このコミュニケーションギャップを解決するためには、「具体と抽象」を理解する必要があります。
具体と抽象を理解しないまま放置してしまうと、根本的な問題解決ができなかったり、円滑なコミュニケーションが取れなくなり、余計なストレスが溜まってしまいます。
しかもこれからの時代は、「具体と抽象」を理解した先に、『具体と抽象を行ったり来たりして、ギャップを減らしていく※』思考が最も重要です。 (※具体と抽象の往復と言います)
なぜなら、この思考が出来ないと近い将来、機械やコンピュータに取って代わられて、”使えない人”になってしまうこともあるからです。
今回は、細谷 功さん著『「具体⇄抽象」トレーニング』という書籍を参考にしました。
この記事を読むと、本に比べてたったの5,000文字で超わかりやすく”仕事がデキる人になるための思考術”が身につきます!
ただし、飛ばし飛ばし読んでも理解出来ない内容になっているので、ぜひ順番に最後まで読んでみてください!
具体と抽象とは?
そもそも、普段の生活で「具体と抽象」なんて言葉、あまり耳にしないですよね?
簡単に言うと、次のような意味です。
具体とは、見たり触ったりできるもの・知識・情報
…個別・特殊・五感で感じられる実体・個々の属性(形、色、大きさ)
抽象とは、形を持たず、目に見えない考えや概念
…集合・一般・五感で感じられない概念・二者以上の関係性、構造
最初は難しいと思うと思いますが、大丈夫です!
これを身の回りのわかりやすい事例で紹介します。
さらに抽象化すると生物
さらに抽象化すると動物
さらに抽象化すると昆虫
抽象化すると、クワガタムシ科
オオクワガタ、ヒラクワガタ、コクワガタが具体
上の図で表すと、1番下の段の横軸が「具体」で、上に向かう縦軸が「抽象」です。
下の横に行けば行くほど具体、上に行くほど抽象的な概念になります。
他にも、具体
抽象で表すと宇治抹茶
抹茶 お茶 飲料住所
町 市区 都道府県 国 アジア 世界チューリップ
ユリ科 花 植物アルファード
ファミリーカー 日本車 自動車 乗り物このように、私たちの身の回りにあるもの全てがこの具体抽象の関係性で成り立っています。
ちょっとイメージすることができましたか?
次は、具体と抽象を理解していない人の特徴で、どちらかに偏りすぎるとどうなるか?ということを解説します。
具体に偏りすぎるとどうなる?
具体に偏りすぎている人を、書籍では「具体病」と言います。
一般的には、具体的に指示された方が「わかりやすい」と思われることが多く、具体的に指示してくれる上司の方がありがたいと思われがちです。
しかし、本当にそれで良いのでしょうか?
- 全て具体的事例がないと理解も行動もできない
- 言われたことをそのまま行動することしかできず、一切の応用ができない
あれもこれも具体的に指示されていたら、ある程度抽象的な指示をされたい人からしたら、迷惑になる場合があるということなのです。
例えば、
「会議室のノートをあそこに持っていって、ホワイトボードマーカーはここに持っていって、ノートパソコンはここで、椅子と机は倉庫に返して…」
と全部具体的に指示されたら、全て具体的な指示で「何が言いたいのかわかりにくい」となってしまい、
「要するに片付けろってことですか?」
となってしまいます。
「要するに」の考え方が、抽象的な考え方です。この一言を言うことができれば、すぐに解決しますよね。
簡単に言えば、具体病の人は思考停止した状態になるので、このような人の仕事は真っ先にAIに仕事を奪われます。
指示が全て具体的になっていれば、全部機械が学習すれば実行可能になってしまうからです。
抽象に偏りすぎるとどうなる?
また、抽象に偏りすぎている人を、書籍では「抽象病」と言います。
よく政治家が掲げる公約は、具体例が乏しく、「抽象的すぎて何を言ってるのかわからない」「もっと具体例を示せ!」と批判されることが多いです。
- 徹底的に強化します
- ベストを尽くします
- 適材適所でしっかり対応します
簡単に言えば、抽象病の人は、「目標や対策が全て抽象的な表現で、口だけでアクションにつながっていない」ことが問題で、具体化の考え方が不足していることを意味します。
「どうやって(How)」を入れるだけで、具体的なアクションにつながります。
どちらかに偏りすぎないように、ある程度具体性と抽象度を持っていた方が良いということがわかったのではないでしょうか?
コミュニケーションギャップの理由は、具体と抽象のズレ
冒頭でも書きました、
具体的に指示されないと動けない人(具体的にしか考えられない)
抽象的なふわっとした指示しかできない人(抽象的にしか考えられない)
本書ではこのようなコミュニケーションギャップが起きてしまう理由は、具体と抽象のズレが原因と書かれています。
例えば、
「⚪︎月⚪︎日に接待があるから、いい感じのお店予約しといて」という上司からの指示はかなり抽象的です。
逆に、「⚪︎月⚪︎日に接待があるから、△△というお店を19時に予約して、席は個室で、お土産は××の⚪︎△◻︎を用意して…」という指示は超具体的です。
具体的な指示をすれば、間違いは確実に0にはなりますが、指示された部下の人の裁量の余地は全くありません。
もしかしたらその部下が、もっと良いお店のもっと良いお土産を用意して、良い接待のパフォーマンスができたかもしれません。その可能性を潰すのが、具体的すぎる指示です。
指示の受け方による印象の違い
このような、指示の受け方による印象の違いは、4パターンあります。
部下と上司のパターン分け
- 指示を受ける部下①具体的な指示をされたい
- 指示を受ける部下②抽象的な指示をされたい
- 指示をする上司①具体的な指示をする
- 指示をする上司②抽象的な指示をする
- 指示を受ける部下①(具体)
=面倒見の良い上司
指示をする上司①(具体) - 指示を受ける部下①(具体)
=丸投げされた
指示をする上司②(抽象) - 指示を受ける部下②(抽象)
=細かくてわかりにくい
指示をする上司①(具体) - 指示を受ける部下②(抽象)
=任せるのが上手い上司
指示をする上司②(抽象)
指示を受ける側と指示をする側の性質によって、受ける印象が違うことがわかります。
具体的な見方をする部下には具体の指示
抽象的な見方をする部下には抽象的な指示
相手に合わせて使い分けができる上司が、指示が上手い上司です。
新入社員には、しばらくは具体的な指示でOKですが、3年ほど経った社員にずっと同じ指示をしていたら、部下が考えることなく育たなくなってしまうことがわかると思います。
つまり、相手の知識・経験レベルによって、指示の具体度・抽象度は変える必要があるということです。
抽象度を上げた指示をすることで、部下にも考える余地ができ、成長することにつながります。
具体と抽象の往復とは?
本書では、具体と抽象を理解した上で、具体と抽象を往復した考え方を推奨されています。
と思う気持ちもわかります。
私もはじめはさっぱりわかりませんでした。
私自身本書を読みながら、この考え方を身につけた先に、AIではできない仕事・考え方ができる「仕事がデキる人」になれることが段々とわかってきました。
逆にこれができないと、AIがするような仕事しかできないと思うと、めちゃくちゃ重要だと思うようになりました。
具体と抽象の往復の基本的な考え方
具体と抽象の往復とは、
抽象化したことから一定のルールや法則を見つけ、再び具体化して実践に活かすと言うことです。
具体-抽象-具体を行き来することで、より根本的に問題解決できる思考が身につきます。
わかりやすい例をご紹介します。
掃除機を売る仕事をしているとします。
その仕事では、「掃除機をどうやって売るか?」という抽象的なミッションがあります。
一般的にどうやって売られているか、具体的な売り方を考えます。
- 店頭で販売する
- ネットで販売する
- SNSを使って販売する
- 他社が行っている施作を真似する
この具体的な施策の結果、出てきたデータを元に、結果を抽象化してグルーピングします。
- この売り方の良かった原因は〇〇
- この売り方の良かった原因は△△…
このルール付けしたものを評価し、再度具体化して次の施作を考えます。
要するに、
今までの方法(具体)を
より良い方法・対策にルール付けして(抽象化)
新たにな方法に落とし込む(再度具体化)
という考え方が、「具体と抽象を行き来する」考え方です。
問題解決の3パターン
これからの時代に必要な人材は、具体的な事象を抽象化して、具体的に応用を利かせることができる「言われなくてもできる人材」です。
問題解決方法は、具体・抽象・具体と抽象の往復で3パターンがあります。
具体から具体の解決方法…表面的な問題解決
「言われた通りに何も考えずにそのまま対応する」というパターンで、毎回同じような問題が発生しても、その都度解決する必要がある。前回も同じことがあったからその通りにやる、など。
抽象から抽象の解決方法…机上の問題解決
机上の空論での話し合いしかされず、結局何も具体策がない。 政治家が「国民の生活の支援をするために、適材適所で迅速に対応します」 これだと、いつ何をどうするのか?具体的な対策が全くわからない。
具体→抽象→具体の解決方法…根本的な問題解決
まずは現実に起こっている問題を具体的に捉え、それを一旦抽象化して根本的課題を追求して、その解決策を実践するために再度具体化するという方法。
このように、問題解決の考え方としても、具体から具体、抽象から抽象よりも、具体と抽象の往復が最も有効だということがわかります。
『「具体⇄抽象」トレーニング』を読んで得られたこと
私は、具体と抽象について、「聞いたことあるけどよくわからない」というレベルでした。 具体病とまではいかないまでも(と思いたい💦)、知らないことについては、考えることが苦手で、思ったことを言語化するのが苦手なタイプだという認識でした。
そんな現状を変えたくて、思考力や・文章力を上げたいという目的で、本書を購入しました。
読みはじめは内容が難しくてなかなか進まなかったんですが、読み終える頃になると「具体と抽象」の考え方がわかり、本書に書いてある「見える世界が違う」というのが感覚的にわかり、すごく面白い本だっだなという感想です。
具体的にどう変わったのかというと、
- 「この人の言い方は抽象的、この人の聞き方は具体的…」という風に人の話が見えるようになった
- 「物事を具体・抽象で見る」ようになった
- 「抽象的なアドバイスをもらったら、自分なりに考え、具体策を考える」思考の癖が付くようになった
というような、思考や見方が変わりました。
さらに、私が今学んでいるWebマーケティングでの「バズを生み出す」考え方も、「具体⇄抽象」の考え方はよく出てきて、取り入れられています。
これを使いこなす思考をもっとインストールしたいところです。
また、自分のこれまでの人生を振り返って、反省などもしました。笑
- 「実際、私も具体的に言ってもらわないとわからないとか言ったことあるなぁ」
- 「経験のある仕事は具体抽象の考え方は使えていた気はする」
- 「コミュニケーションギャップは、相手の目線に合わせられてたかな?」などなど…
具体と抽象の考え方は、思考法だけでなく、コミュニケーション力にも大きく関わってくることがわかり、これからの時代を生き抜くためには必要不可欠なんじゃないか!?と心底感じています。
- ついつい具体的な指示ばかり求めがちな人
- 「なんで伝わらないんだろう?」と人との関わり方で悩んでいる人
- 私のようにWebスキルをこれから身に付けたい!と思う人
こんな人には、ぜひ読んでほしい一冊だなと思います。
書籍では、29問のトレーニングや様々な観点で、さらに詳しく解説されています。
難しい内容なので、同じ作者の子ども向けの書籍もご紹介します。
まとめ
具体抽象トレーニングでは、この記事で紹介した内容以外にも、もっと数多くの事例と練習問題があるので、深く学ぶことが出来ます。
そもそも考える習慣があまりなかった人でも、思考のトレーニングを続ければ、この思考が一気に出来るようになります。
私も何回も読みながら、さらに思考する習慣をつけようと思います。
それでは、次のブログでお会いしましょう!